2012年11月18日

【値決め】で、「会社の儲け」は決まる!


こんにちは♪

お蔭様。11月より会社設立6年目となりました、スリーエス創研の渡辺です。

早いもので、11月も半ば、今年もあと1ヶ月と半となりました。
年賀ハガキの発売、「クリスマス」や「年末年始」商戦も始まり、
すぐに「師走」がやってきますね。


さて、前回は「計数管理」が大事ということで、『お金の使い方・人件費』
について話をしました。

今回は、企業において、利益を作っているのは「売価」といっても
過言ではないということで、【値決め(販売価格の設定・実際の販売価格)】
を取り上げてみます。

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《えっ、そんな決め方でいいの・・・》


『今度の「おせち」、販売価格は去年と同じ25000円で!』
『他社さんもその価格だし、昨年と同じくらい売れるでしょ!?』

営業用のチラシを先行して制作するということで、
まずは【値決め】が行われました。

(ちょっと、待ったぁ~)

私が話を聞いたときには、既に【値決め】がされ、昨年とほぼ同じ
ようなチラシが出来上がっていたのです。


・献立や材料は、去年といっしょでも仕入価格に変動はないの?
・重箱やお箸や包装風呂敷などはちゃんと原価に含まれているの?
・チラシ印刷や食品ラベル作成などの初期費用は・・・?
・調理人の人件費、盛付のパートさんの人件費は・・・?
・食品衛生検査、食品成分表示検査にかかる費用は・・・?
・梱包代や配送費は・・・?

さらには、

・昨年は何個販売できたの? それは予定と比べてどうだったの?
・すべて定価売りしたの? 割引販売で数埋めはしなかったの?
・今年の販売数量(目標)の設定は? 見通しは? 
・1個販売したときの利益額は? 全部売れた時の儲け額は?
・最低でも何個販売しなければ、赤字になるの?
 
 などなどの問い掛け事項が頭の中で流れました。


経営者と現場の「経験」と「勘」で【値決め】が実施されました。
そこには、まだきちんとした計算(計数管理)はなかったのです。

さぁ、ここから食材原価の調整、梱包・配送の仕組みの見直し等の
修正対応を実施したことは、言うまでもありません。



《価格が適正でなければ「利益」は出ない!》


マーケット(消費者)に受け入れられる価格設定【値決め】をしなければ、
なかなか思うようには売れません。

また、【値決め】をきちんと行わないと「利益」は出てきません。

いくら素晴らしい商品を作っても、【値決め】が適正に行われないと
「商い」を続けていくことはできませんよね。

商品・サービスの価格決定=【値決め】は言うまでもなく、売上・利益を
大きく左右する、企業経営における重要な戦略なのです。



さて、その重要な戦略である「売価」の設定【値決め】は、通常、

○かかるコストに一定のマージンを上乗せ 
○既に付けられている市場価格(他社価格)に準じて設定 
○それらに価格感度や価値価格などを加味、販促面など戦略的な意図を
 加えるなどのアプローチで価格を設定していると思いますが、
 昨今この【値決め】が難しいと思うことが多くありませんか?


○「デフレ」環境下で、本来求める価格が付けにくくなっているにもかかわらず、
 原材料の高騰や前回指摘のような継続的な人件費の上昇等
 コストが膨れてきており、「利益」分の上乗せが難しくなっている。

○一般的に、価格と需要は「反比例の関係」にあると言われていますが、
 安くても良い製品やサービスは世の中に沢山存在し、また
 消費者の商品選択の目も厳しくなっていることから、「値下げを
 すれば売れる!」ということではなくなってきている。


市場に適応するものとして【値決め】した価格が、算定したコスト総額よりも
低くなってしまう「赤字」の算定商品も出てきているのではないでしょうか。

これからは「コストを積み上げて」価格を決めるのではなく、求められる
価格から、「どこまでにコストを抑えなければならないか」を割り出していく
戦略が必要となってきているのです。



《みんなが知っている「利益」の方程式》


「利益」の方程式は、『(売価-原価)×販売数量』です。

商いを行っている人は、いつも目にしている数式ですよね。

つまり、「利益」を出していくには・・・


○「売価」をできるだけ高く設定する!

○「原価」をできるだけ低く抑える!

○「販売数量」をできるだけ多くする!


ということですが、利益を重視できていない会社は、この値決めを
軽視し、安易な価格設定や値引きを行っているのが現実なのです。

『もっと多く販売しろ!』『値下げをしてでも売れ!』ばかり。


「利益」の方程式を、改めて、簡単な計算式でみると・・・

売価100円―原価99円×数量1万個=利益1万円
 現状は利益率1%で、利益額1万円です。

◎<売価アップの経営努力をしました>

 売価101円―原価99円×数量1万個=利益2万円
 (売価1%の値上げで、利益額は2倍になりました)

 逆に「1円(1%)値引」したら、利益額は0万円となります。


◎<コストダウンの経営努力をしました>

 売価100円-原価98円×数量1万個=利益2万円
 (原価約1%ダウンで、利益額は2倍になりました)

◎<売価アップ・コストダウンの双方の経営努力をしました>

 売価101円―原価98円×数量1万個=利益3万円
 (結果、利益額は3倍になりました) 


一方、数量アップを行った場合(ここでは変動費は考えない)、

◎<販売個数1%アップの経営努力をしました>

 売価100円―原価99円×数量1万100個=1万100円
 (利益額は1%増でほとんど変わらない状況)


方程式は分かっていても、実践をしなければ、利益UPではなく、
きちんと原価計算・販売予定数の販売を行っていかなければ、
場合によっては、「利益」激減が生じる仕組みだということがわかります。


いかに【値決め】が大事ということですよね。

商品価値にふさわしい【値決め(販売価格の設定)】を行う! 


そして、その場対応の「安易な値引き」はしないということ!です。



《営業の一つの判断で、一瞬で「利益」が水の泡に・・・》


『わかりました。他社さんがその金額を提示しているなら、
 弊社も8000円で提供します。』

『更に「ワンドリンク」をサービス、
「カラオケサービス」も無料でいいですよ。』

通常12000円で販売している1泊2食の宿泊料金を営業マンが
団体営業の際に提示をしている場面です。


なんとなんと、もろもろ含めると約40%引きの割引価格で
【値決め(販売価格を設定)】を行い、自慢げに契約獲得の報告をしていたのです。


「業務改善」でコストダウンの取組みの手伝いをしておりますが、
これは時間も掛かる場合が多いです。経営者・現場が一体となって
着実に行っていきます。

そして、数ヶ月をかけて、お客様当り、数十円~数百円のコストダウンを
実現し、「利益」の創出、価格競争力のアップを図っていくのですが・・・。

お客様からの要請ということで、営業が判断して値下げ販売した結果、
現場改善の努力は、一瞬に水の泡と化したのです。



最初に適正な価格設定を行っても【値決め(実際の販売価格)】が
きちんと行われないと、大変危険なのです。


安易な「値下げ」の戦略は、は大変危険です。

お客様を増やすのに、「価格を下げて対応する」という手法が旅館
ホテルでも多くのところで実施しています。


販売価格を10%価格を下げました。

さて、どのくらいお客様を増やしたら、
値引き前と同水準の「利益」が確保できますでしょうか?


お客様を10%増やしたら、
利益は確保できますでしょうか?


答えは、先の『利益の方程式』で話ましたように、“NO”です。


売上額でみると、

売価10,000円×数量100,000人=売上10億円

これが、

売価9,000円×数量110,000人=売上9.9億円となり、
売上高でも更なるプラスアルファが必要となりますが、

「利益」に関してはもっと、異なります。


費用には固定費と変動費がありますので、一概には言えませんが、

例えば、変動費比率40%の場合は、同水準の利益確保には、

 ⇒集客20%増(売上額は8%増) 
  (価格20%ダウンの場合は、数量50%増が必要です。)

また、変動費比率が60%にある場合は、

 ⇒集客34%増(売上額は8%増)
  (価格20%ダウンの場合は、数量は2倍必要になるます。)


「値下げ」戦略を実施した場合に、それだけの集客アップが図れているか・・・。

「値下げ」をしても他社が追随して優位性がなくなったら・・・。


特に、変動費比率が高い場合は「値下げ」余力がないので、大変に
危険です。慎重な対応が必要と言えます。



《慣習のように当たり前に行われていることも・・・》


様々な場面で、安易な「値下げ」(に相当するもの含む)が行われており、
皆さんも目にしているのではないでしょうか。

(以下は、旅館さんでよく目にするモノです)


○旅行代理店の要請等で「価格見直し」を実施する際に、数百円単位、
 場合によっては千円単位で価格を設定しています。
 また「見積書」では、端数値引きで数万円を引いていることも。

○「○○無料サービス」。ホテルで会議やパーティを行うと、会場代・
 マイク代・プロジェクター代と、ひとつひとつに単価設定があって
 請求をされますが、旅館では宿泊者サービスということで
 「価格設定」すらない場合があります。

○お客様のご要望で「魚」が食べれないということで、多くのお品
 を原価の高い「肉」などに料理変更、無償で行っています。

○団体さまの当日の人数変更で、キャンセル料請求の対応を行わずに、
 何も言わずに実数で請求を行っています。

○原価計算の際に、料理であれば「敷き紙」や「お箸」などの装飾品や
 消耗品、売店での包装費などが含まれていない。
 (財務会計上、「販売費及び一般管理費」に計上することから、
 見落としがちです。小金額商品におけるこれらのウエイトは決し
 て小さくはありません。)


これらサービスや特別料金分を予め「原価」に入れて【値決め】を
行っていれば良いのですが、入れていない場合は対応方法などを今
一度、しっかりと見極める必要があります。
(積み上げたら、大変大きなコスト額です。)


これらが、現場で日々行われていたら、一生懸命に取組んでいる、
「コストダウン」取組みも「販売促進」の取組みも報われません。



《「売上」「コスト」意識から、「利益」意識の思考転換を!》


儲かる会社は、社長やスタッフが「利益」に対して相当な意識を持って
戦略立てから日々の運営までを行っています。

当然ながら、社長はスタッフの誰よりも「利益」に対して、興味を
持たなければなりません。「原価」と【値決め】は現場任せという
会社では、儲けられないということです。


「作っている商品・提供しているサービスが1つ売れると、いくら
儲かるか?」をスタッフは知っているでしょうか?

営業には「売価」、生産には「原価」しか見せていなければ、儲け
を知る余地がありません。会社の重要な情報ですので、取扱いには
注意が必要ですが、少なくとも管理職スタッフは把握をしておく必要があります。

利益(売価と原価)の「見える化」が必要です。


「儲け」の仕組みが分かれば、「値引き」をするということがどう
いうことかを知ることになります。「安易な値引き」や「無償での
サービス提供」のあり方にも変化が起きるでしょう。


電気料金の値上げ、消費税増税など一層の厳しさが待っています。

大切なことは、【値決め】という行為を通じて、優れた商品を必要以上に
安売りをしない。

お客様の都合にすべてを合せて「利益」を減少させるのではなく、
きちんと「伝え」「交渉」してお互いにとって良い方向で物事を進めて
いくということです。


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【値決め(販売価格の設定・実際の販売価格)】は、
あなたの会社の「利益」に大きく影響しています。

【値決め】で、「会社の儲け」は決まる!

きちんとした計数管理による価格の設定と、営業・運営における御社の
『値決めのルール』を策定しましょう。スタッフ一人一人が想いを
持って「販売する」仕組みを築いて参りましょう。

付加価値の高い商品の提供で、価格を高く設定(維持)する。

自信を持ってスタッフが販売できるように、ブランドづくり(商品開発と
マーケットへの訴求)で勝負していきたいものです。



渡辺元伸



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Posted by しるばーうるふ at 22:26│Comments(0)しごと
 
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