2012年06月03日

この会社でずっと働きたいと言われるために


ラブソング♪をうたい続けて、四半世紀・プラスワン!

マーチンこと、鈴木雅之さんのコンサートでの1フレーズです。

先日、福岡で催されたコンサートをなんと最前列(1列目)で観て、
感動に浸っている、シャネルズ時代からのファンである、
渡辺元伸がお届けします。


経営者の皆さま、スタッフに愛情を注ぎ続けていますか?

鈴木雅之さんはソロデビュー・ラブソングを歌い続けて25周年。

今では「ラブソングの王様」と言われるぐらいに、ファンのみならず、
業界内でも多くの方々に支持をされています。
著名なアーティトとも、デュエットやコラボレーション、プロデュース
なども行って、進化し続けて今を築かれています。

長きに亘り、続けることには『想い』と『仕組み』が必要ですね。

今回は、スタッフへの愛情をカタチにする【人材育成・人事制度】
について話をしたいと思います。

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《優秀で前向きな社員が、会社を辞めていく》

幹部候補と考えていた優秀なスタッフが「会社を辞めたい」と、
社長に話をしたことから、この取組み(後述)が始まりました。

そのスタッフに「辞めたい」と思った本当の理由を聞いてみると、
以下の言葉が返ってきました。

「会社の中には特段の規則やルールがなく、
 社長のその時の考え方や気分で物事が決まってしまい、
 どのように仕事をしたら良いか、わからなくなってきた。」

「賞与の時期になっても、
 賞与が出るかどうかすらわからない。」

「昇給や昇格も社長次第。
 何が評価され、何が良くなかったのか、分からず、
 昇進や異動の発表も突然言い渡される。」

自分に何が求められているのか、仕事の功績が昇給や昇格に繋がって
いくのか、が見えないことから、将来設計ができず、強く不安を感じている
ことが「辞めたい」の事由でした。


優秀で前向きな社員だから「今の会社にいても将来像が描けない」
と会社を去っていくのです。残念ながら、中小企業ではこの光景を
ときどき目にします。

会社とスタッフの雇用関係も、“相互拘束”から“相互選択”へと
変貌している時代の中で、『社長がルールブック』は通用しなくなって
いるのです。


《ヒト・モノ・カネ?、カネ・モノ・ヒト?》

一番重要な経営資源は何ですか?

年頭挨拶や指針表明で「ヒトが大事」という話を多く耳にします。
「今年は、教育=人財づくり、ES向上に努めていきます」と。

しかしながら、取組みの優先順位では最後になっている場合が多く
あります。最も重要な経営資源であるにも関わらず、実態は『ヒト・モノ・カネ』
の順番とはなっていないのです。

どんな立派な設備やシステムを導入しても、それらを運用するのは
「ヒト」であり、その運用によって、その価値は何十倍になることもあれば、
逆にマイナス効果となる場合もあり、効果は「ヒト」によって大きく左右されます。

ゆえに「人材育成」に対する投資が必要なのですが、具体的に何を
したら良いのかわからないということもあり、後回しとなっている
ケースが多いです。

では何をしたらよいのか・・・

スタッフが成長し、会社が成長し続けるためには「ヒト」に対する
「仕組みづくり」が必要となります。

それが【人材育成・人事制度】です。


《ラブソングのように、カタチにして伝えることが大事》

前述の会社では、カタチになった「人事制度」は存在しておらず、
社長の采配ですべてが行われていました。

一般的に「人事制度」というと「人事考課(評価)制度」「賃金等
処遇制度」「昇進昇格制度」「異動配置制度」で構成されますが、
いきなり、カチッと枠に当てはめるような制度では「運用」の段階で
失敗する恐れがあることもあり、次のような取組み(【人材育成制度
としての人事制度】)で行うことを社長と協議してスタートさせました。


●今回はこの取組みをご紹介します(以下が取組み内容です)●

・スタッフの理解と納得が得られるものとすること。
・継続的にスタッフを育成させる仕組みであること。
・会社の想いをカタチにして、スタッフに示すこと。

この3点を満たす『人材育成・人事制度』の構築を始めました。

第一段階で取組んだコトは以下の4つです。

①『人材ビジョンシート』の作成
②『役割能力基準表』の作成
③『チャレンジ(目標管理)シート』の作成
④経営者面談の仕組みづくり


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①『人材ビジョンシート』の作成
-まずは、「想い(ビジョン)」をきっちりと伝える-
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経営理念、基本方針に掲げていることをスタッフが理解・納得し、
日頃の行動・経営ビジョンの達成へと繋がるように、【人事・教育
に関する会社の想いを記した『人材ビジョンシート』】を作成して
全スタッフに示しました。

《「人材ビジョンシート」記載事項》

・経営理念、基本方針、行動理念、経営ビジョン に加えて、
「人事理念」「5年後の社員人材像」「2012人事・育成取組み」
「課題を解決するための具体的な取組事項」を経営者会議で内容を
詰めて1枚のシートでカタチ(明文化)にしました。


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②『役割能力基準表』の作成
-社員に求めるもの、社員が目指すものをカタチにして伝える-
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「うちの会社は管理職が弱いんだよ」
「現場での教育ができていないだよ」
というフレーズを経営者の発言としてよく耳にします。

これは、管理職(リーダー)に『役割』を明確に付与していないことが
原因として挙げられます。「目標の達成」と「組織の発展」が
管理職の役割であるわけですから、『人材育成=教育』の視点も
きちんと『役割』として付与すべきなのです。

スタッフの能力発揮を求めるならば、求めるものをしっかりと示そう
ということで、管理職から新人まで、「どのような社員になってもらいたいか」
「会社が必要としている社員像・成長」を示すものとして、各々の
職位・職種において「あるべき社員像」を記した、『役割能力基準表』を
作成しました。

社員に求めるもの、社員が目指すもの、評価の基本となる“基準”
を設定して示したものです。

“基準”の策定に際しては、世間でも通用する人材の育成を目指す
ものとして厚生労働省が策定している「職業能力評価基準」を参考
にしながら、社風・風土、現状と課題、会社の思いを反映させる形
でオリジナルの「役割能力基準表」に仕上げました。

《「役割能力基準表」記載事項》

・社員が発揮することを期待する仕事上の成果につながる行動。
・そのために必要な技能・技術及び知識。


★「職業能力評価基準」厚生労働省HP参照★
  http://www.mhlw.go.jp/bunya/nouryoku/syokunou/

・仕事の内容を「職種・職務・能力ユニット・能力細目」という単
 位で細分化しています。

・成果につながる行動例を「職務遂行のための基準」、仕事をこな
 すために前提として求められる知識を「必要な知識」として整理
 体系化しています。

現在、以下の業種の「職業能力評価基準」が作成されています。
皆さまの会社に該当するものもあるのではないでしょうか。

・電気機械器具製造業・ホテル業・印刷業・プラスチック製品製造業・
 型枠工事業・鉄筋工事業・フルードパワー業・スーパーマーケット業・
 ファインセラミックス製品製造業・アパレル業・防水工事業・
 ロジステックス分野・市場調査業・外食産業・自動車製造業・
 広告業・光学機器製造業・エンジニアリング業・左官工事業・造園工事業・
 フィットネス産業・パン製造業・総合工事業・在宅介護業・ボウリング場業・
 写真館業・軽金属製品製造業・鋳造業・卸売業・自動販売機製造管理運営業・
 DIY業・クレジットカード業・産業廃棄物処理業・金属プレス加工業・
 コンビニエンスストア業・電気通信工事業・専門店業・イベント産業・石油精製業・
 ビルメンテナンス業・マテリアルハンドリング業・旅館業・施設介護業・
 プラントメンテナンス業・ウェブコンテンツ制作業

(作成された順番で業種を掲載)


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③『チャレンジ(目標管理)シート』の作成
-経営者とスタッフのコミュニケーションツールとして位置づけ-
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今回の取組みは「人事評価制度」ではなく、「人材育成制度」の観点で
行っているので、『チャレンジ(目標管理)シート』は、一般的な
「目標管理シート」にあるようなウエイト配分付けや会社評価などで
点数化するものではなく、?『役割能力基準表』を理解し、その上で
スタッフ自身が「何を行っていくのか」を考え、それを表明するようなカタチに
することを目的として作成しました。

《目標管理シート》記載事項

・「今期のチャレンジテーマ」「基準達成のための行動目標」「必要な技能、
技術及び知識の習得に向けた取組み」とそれに対する年2回(半期と年間)の
自己評価。


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④経営者面談の仕組みづくり
-考課・査定のための面談ではなく、育成面談として位置づけ-
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業務遂行を通じての経営者とスタッフのコミュニケーション以外に
改めて「経営者とスタッフ」が1対1で話し合う場を「仕組み」と
して設定しました。

会社の想いを伝え、社員はそれに応えるべく行動を行う。その状況
を経営者・スタッフが相互確認をするための「場」を年2回、途中
経過確認、年間を通じての振り返りと来期への期待などを話し合う
場として設けたのです。


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今期より、スタートしたこの取組み、スタッフの反応は上々です。
仕事に対する熱意、行動にも変化が現れ始めています。

このような取組みを行うということを、「辞めたい」と申し出のあった
幹部候補のスタッフにも伝えました。会社の想いも伝わったようです。

そのスタッフは、今日現在も、現場の第一線で働いています。


『ヒト』は「コスト」ではなく、「資産」であるべきです。

投資をすればするほど『人材』として価値が高まり、会社に貢献する
『人財』になり得るのです。

中小企業であるからこそ、「人材育成」は、場当たり的に行うのではなく、
体系化して計画的に人材を育成していくべきなのです。

今回紹介した取組みは、【スタッフに愛情を注ぎ続ける】、相思相愛の
関係づくりを行うための1つの「仕組み」です。

【人材育成・人事制度】は、会社が成長し続けていくための、エンジン
であるのです。


景気の不透明感が長く続くことで、大企業の採用の抑制により、中小業
にも多くの学生が就職するようになってきている一方、中小企業においては、
まだまだ離職・転職の割合も高いようです。

厚生労働省によると、
新入社員が入社3年以内に離職する割合は、

H22年:大学卒13.4%(短大等卒18.9%)
H16年:大学卒36.6%(短大等卒44.8%)

ピーク時からは半減しているものの、「次の転職先を探すのが困難だから」
ということで留まっている社員もいるのが実態です。

「この会社でずっと働きたい」と言われ続ける会社であるために。

あなたの会社のラブソング=【人材育成・人事制度】をつくってみては
いかがでしょうか。


渡辺元伸




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Posted by しるばーうるふ at 19:16│Comments(0)しごと
 
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