2011年02月17日

役に立つ会社(あなた)の創り方

「誰かの役に立つ会社(自分)であるにはどうするか?」

この考え方が、益々大切になってきます。
21世紀型マーケティングの本質的問いだとすら想うのです。

「あなたの想いに共感してくれる人をお客様にしよう」

僕が再三言い続けていることですが、実は、その前に、「あなたと
(あなたの会社と)おつきあいするお客様が得る最高のもの」を
提示する必要があります。

つまり、どのようなお役に立てるか?です。

はじめのポイントは、「よく見せる」というテクニック以前に、
自社(自分)の歴史や経験や商品を、自らが深く知ることです。


僕は、マーケティングの初動は「自己紹介」だと想っていますが、
先に書いたように「想い」の前に「お客様が得る価値」を表現
しなくてはなりません。

自己紹介の創り方は、「お客様目線」であるべきです。

だから自己紹介とセットで、

「そんな会社(自分)だから、
 こんな人の役に立てます。
 こんなときに役に立てます」という表現になります。

●こんな人には、こんなときには。

そのために、「自社(あなた)の強みと良さと独自性」を洗い出す
方法を記します。


今回は「ワーク」です。
後半に「事例」もご紹介します。


★以下は、無理に「文」にしようとせず「単語」で結構です。

(1)社名や職業を出さずに、
   どんな仕事をしているかを羅列してみる。
   ※最低でも21個は出す。

(2)その仕事で、こだわっている点と、
   どんなことに気を付けているかを羅列してみる。
   ※最低でも7個は出す。

(3)お客様から誉められる点を、とても喜ばれた経験を、
   客層別に羅列してみる。
   ※客層毎に3個は出す。

(4)上記みっつの回答から導き出せる
   「そのような回答になった理由」を、
   「会社やあなたの歴史と趣味嗜好」に関連して羅列してみる。
   ※最低でも7個出す。

★ここからは「文章」になるよう意識して取り組んでください。

(5)各種回答と理由を組み合わせて、
   自己紹介の文章を考えてみる。
   ※口頭で話す場合の20秒、1分、3分のバージョンを。
   ※400字で1分検討です。

(6)その原稿の「主語」を変えてみる。
   一人称パターン
   二人称パターン
   三人称パターン

(7)ラストです。
   上記文章を他人に聴いてもらうか、読んでもらい、
   「どの部分に魅かれたか」と、
   「独自性があると思われる部分」を聴き出します。
   ※自分で録音して、自分で客観的に評価してもいいです。

★評価ポイントは「へぇ~」です。
 どこぞのテレビ番組にありましたが、「へぇ~」という感心でき
 るポイントが、強み、良さ、独自性である可能性が高いです。

そして、その「へぇ~ポイント」が、いったい誰の役に立つのか?
を考えます。

このワーク完成の条件として、例えば宿泊施設様であれば、

・環境
・施設
・料理
・サービス
・オーナー個人
・スタッフ
・歴史
・得意客層

というカテゴリー毎に想いを巡らせたら取り組みやすいでしょう。

その他の業界の方も、

・商品やサービスを構成する要素に加えて、
・オーナー自身の趣味や嗜好、
・働いている人達の特徴や傾向、
・さらに「これぞ当社の(実在する)理想のお客様」

というカテゴリーに分けて思案するといいと想います。


参考までに、数ヶ月前に月刊誌「商業界」さんに掲載された、僕の
原稿を以下に転載します。

今回の話題と関連付けるなら
客観的記述による「三人称パターン」と言えるでしょう。

それでは以下。


このメルマガの性質上、宿泊施設の繁盛事例をお読みください。


★おもてなしとは「コンセプト」です。

【湯主一條様の事例】
http://www.ichijoh.co.jp/

六百年もの間、事業を続けることが容易でないことは想像に難くない
と想います。ここに第二十代当主と女将が心血を注ぐ宿があり、
名前を「時音の宿 湯主一條」と言い、宮城県は鎌先温泉にあります。

コンセプトはタイムトリップ、テーマは「森」。

大正時代の本館は木造一部4階建のシンボルであり宝。地元木材を
使い、宮大工によって「釘を1本も使わずに建てられた」歴史的
建造物です。これを、そのままレストランとして新しい命を吹き込み、
2008年に総リニューアルした斬新なデザインの新館との最強の
コントラストから、「タイムトリップ」という切り口で、懐かしさ
と新しさを同居させることに成功しました。

エコラグジュアリーな客室棟から、館をつなぐ「時の橋」を渡って、
歴史的建造物で、「森の晩餐」と言われる創作和モダン会席をいた
だく贅沢。当然ながら繁盛旅館です。

老舗の良さに加えて、館主夫婦のバックボーンは東京の高級ホテル
のコンシェルジュであることが、そのホスピタリティーに独自性と
新しさを加えていると想います。

自噴600年の傷に効く「薬湯」と手堀洞窟からの「つや肌の湯」。
7種類の客室は、環境にも配慮したエコラグジュアリー。

某ポータルサイトで「東日本1位」「東北1位」に何度も選ばれた
お料理は、本当の意味で創作系。館主が手塩にかけて育てた「一條
菜園」からの野菜も好評。さらに女将主宰のアイリッシュハープコ
ンサートや、エステメニューの数々は、女性のみならず広く支持さ
れています。


★おもてなしとは「イノベーション」です。

【庄助の宿瀧の湯様の事例】
http://shousuke.com/

福島県会津と言えば「小原庄助さん」。
自らの「館名(館内で名乗る名前)」を、小原庄助と名乗るほどの、
こだわりと遊び心のある館主がいる宿が、庄助の宿瀧の湯です。

ここは「あったかふるさと『をんりーわん』宣言」の宿であり、
「地産旬消」をテーマにした食材・料理をはじめ、歴史、風景、
自然、施設、そして想い出を、常に提供することを使命としています。

この宿では、「いらっしゃいませ」ではなく、「おかえんなんしょ
(会津弁でおかえりなさいの意味)」という言葉を使い、来客をも
てなしてくれます。

その特徴は、常に施設やサービスを「イノベーション」していること
です。この1年でも、新たに露天風呂や貸切風呂やダイニングを、
景観を生かしながら複数オープンさせていますし、企業戦略として
「エンドレス設備投資」を掲げています。

食事会場にしても、川辺の和ダイニング「蔵ssic」、料亭「開花亭」、
ぎゃらりーだいにんぐ「花みずき」、さいかちテラスなどを持ち、
提供スタイルや雰囲気、食事内容が選べるという徹底ぶり。

いやいや、設備投資をしなさいという話しではありません。その根底
に流れる「郷愁」と、「嫁いでいった我が娘を実家で迎える気持ち」
というホスピタリティーという名の旺盛なサービス精神に触れて
いただきたいのです。

お客様を喜ばせようとする徹底した遊び心は「ごゆるりエンターテ
ィメント」とも言うべき、見事なものです。


★おもてなしとは「人そのもの」です。

【湯本舘様の事例】
http://www.gozu-yumotokan.com/

この宿を知って、新潟が好きになりました。

宿泊施設の基本要素は「風呂・部屋・料理」ですが、逆に言えば
湯本舘には、それしかありません。でもそれでいいのです。ただただ、
人が温かい。それが湯本舘の魅力。

客室に飾られている書は、地元書家である横山蒼風先生のものですが、
その中の詩に「いつでも、あなたのお母さん」というのがあります。
まさに、湯本舘のイメージそのままです。

山の一軒宿ですが、秘湯というほど遠くなく、施設も清潔で綺麗な
和風旅館。野趣溢れる露天風呂と、ゆっくりできる雰囲気、新潟の
旬を味わう料理があれば、他に何を望みましょうか?

そして接客係はじめ、スタッフの皆さんの「ほのぼのとして優しい
対応」は、もちろん、「うちの良さは、人の良さ」と語る館主、
女将さん、若女将さん、若旦那さんのお人柄の賜物です。

施設の豪華さに目を奪われない分、人の優しさが身に沁みます。
その象徴的イベントは、「味噌づくり体験ツアー宿泊プラン」です。
毎年春に3日間程度行われるこのイベントでは、宿泊者と宿のスタ
ッフが総出で、味噌作りを行います。

新潟県産の大豆、笹川流れの塩で有名な日本海ソルトの岩塩、地元
農家の米麹菌で増殖させた味噌麹だけを使い、安心安全、そしてメ
チャ美味しい味噌を作ります。館内で使用している味噌は、この時
に作ったものだけを1年中使っているのです。

また、この宿のパンフレットは、なんと20ページ前後の「マンガ」
冊子です。ジョッピー君というムササビのキャラクターが、環境・
施設・料理・サービスを楽しく紹介しています。
(僕が立案企画制作させていただいたのですが(^_^;))


★おもてなしとは「マメなこと」です。

【松渓苑様の事例】
http://www.shokeien.com/

ここの館主ほど、マメで律義な人を知りません。お礼状やメールの
レスポンスの良さは、おそらく福島県一番でしょう。

この宿は、見事な庭園と回廊に配した風情ある客室だけでも、充分
に魅力的なのに、館主と女将のパーソナルタッチが素晴らしいので、
周囲の不振を他所に繁盛しています。そしてそれが館内やスタッフ
にも伝播し、独自の「空気感」を創っています。

かがり火で迎えられたお客様は、チェックイン時に見事な庭園を目
にします。そのラウンジ周りでは、サイフォンコーヒーや、テーブ
ルに置かれたミニ和風ガーデニング、女将の手による陶芸作品に触
れることができます。

これはいずれも「お客様との会話を創る仕掛け」でもあるのです。

そして部屋に入れば、これまた女将直筆の歓迎短冊が置いてあり、
館内案内には「ラウンジは夜になるとワインバーになること」
「数種類の地酒が楽しめる飲酒(ヤムシュ)セット」などの楽しい
情報が記載されています。また、前述した陶芸は「めぐみ工房」
として館に隣接したところで「体験」でき、ひと月後に、女将に
よって釉薬された自分の作品が届き、旅の想い出が、また再来や
紹介を生みます。

温泉は、天然温泉の中でもさらに珍しい「酸性泉」。高村光太郎の
「智恵子抄」でも謳われる安達太良山からの引き湯でもまれ、やわ
らかい湯となって旅人を癒します。女将、若女将の心遣いが館内に
満ちて、マメな館主が様々にご縁を繋げ彩って行く。そんな繁盛の
方程式が、この宿の強みです。



以上、四つの事例をご紹介させていただきました。

強みと良さと独自性を洗い出して社内で共有し、情報発信のブレない
軸を創っていただきたいと想います。


★「商売とは相思相愛を探す旅」
株式会社 乾杯・KANPAI
http://www.kanpai-kanpai.com/
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タグ :旅館ホテル

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