2011年01月14日

人を笑顔にする力

僕は常々
「事業には人を幸せにする力がある」
と想い志事をしています。

宿泊施設にも、当然ながら
「人を幸せにするチカラ」
があります。

今日は、そのことを実感する事例をご紹介しましょう。

連日多くのお客様が訪れ、
劇的に売上を伸ばしている「洋菓子屋」さんがあります。

場所は長野県伊那市。

洋菓子屋さんの名前は「菓匠Shimizu」さん。

いつも言うように「結果として」売上が伸びています。

そのきっかけとなったイベントが「夢ケーキの日」。

僕も洋菓子屋さんやパン屋さんには志事のご縁があって、
この業界にはお世話になっていますが、
今日ご紹介するイベントほどブランディング創造の
エッセンスがあるものは珍しいです。

ひと言で言えば、
「全国の小学生以下の子供に、自分の夢を絵に描いて送ってもらい、
 送られてきた絵を基にケーキを作って、
 子供たちに無料でプレゼントする」
となります。

はじめの年は2006年。

最初の年に配ったケーキの数は9個。

それが翌年には50個、翌々年には500個と増え続け、
昨年2009年10月には、
なんと850個のオリジナルケーキを作って配ったそうです。

ケーキを受け取る親子が全国からやって来るという反響。

店の前に1000人以上の行列ができたという伝説。

素晴らしい!です。

しかも、小さなショートケーキではなく、
立派なデコレーションケーキなのです。

子供の絵を元に、1個1個創るのです。

それも無料で。

800個配ったら、
1日で300万円以上の売り上げが消えていくわけです。

3代目の店主、清水慎一さんは、
何故、こんなイベントを始めたのでしょう?

そして2004年に約1億円の売上だった同社は、
店舗も増やさず、場所も変えず、
昨年、2009年は、約3億5000万円と
5年で3倍以上に増えています。

それは、清水さんが、
テレビであるニュースを見たのがきっかけでした。

「隣町で男子高校生が父親をナタで殺すという事件」

清水さんはそのニュースにショックを受け、
「世の中で二度とそんなことが起きないように、
 家族で夢を共有してほしい」
という思いで夢ケーキの日を始めたのです。

「お菓子には人を笑顔にする力がある。」

人として、親として、そして商売人として、
「何かできることがあるんじゃないか」
という想い。

まさに、僕が仕事を「志事」と書くが如き想いと同じです。

「僕は菓子屋なんで、
 お菓子を通じて何か世の中のためにできることがあるんじゃないか」
と考えるようになったんだと。

そして、隣町で子供が父親を殺すという事件が起きたとき、
「その親子は絶対にうちのケーキを食べたことがあるはずだ」
と思ったそうです。

絶対にうちに来たことがあるはずだと。

「うちのケーキを食べながら語らってもらえば、
 そんな事件は起きなかったはずなんです」

「その日の夜、お菓子を囲んで親子が語らう時間を
 提供できなかったことは、うちの大きな責任なのではないか。」

・・・すごいですよね。

「お菓子には、人と人をつなぐ力がある。
 人を笑顔にする力がある。菓子屋は、世の中で一番、
 幸せや夢を与えられる仕事なんじゃないか!
 だったら、家族で夢を語る時間を、うちがご提供したい。
 それで夢ケーキを始めたんです。」

本当に素晴らしい!

さらに清水さんの言葉を続けます。

「僕の一番の思いは、
 ケーキを無料でプレゼントすることではなく、
 家族で夢を語る時間をつくっていただきたいということなんです。
 だから、お子さんに絵を描いて送ってもらう時に、
 お父さんやお母さんの夢も一緒に書いてもらっています。
 ケーキの上に絵を描くだけでなく、
 サッカー選手になりたいという子供がいれば
 サッカーボールの形にしたり、
 お姫様になりたいという子供がいれば、
 ドレスの形にしてあげることもあります。
 技術がないとできません。
 大事なのは、何のための技術かということです。
 お菓子コンクールにしても、金メダルを取るために
 挑戦しているんじゃありません。
 ふだんからスタッフみんなで話し合って、
 共有している思いがあります。
 それは、僕たちはなぜ菓子屋をやっているのか、
 なんのために技術を身につけるのかということです。
 パティシエは技術がないと人に喜びを与えることができません。
 お客さんの要望に、120%、150%応えるために
 技術を磨くんだということです。
 お客様を喜ばせ、1人でも多くの人に夢を与えたい。
 そのための技術なんです。」

おこがましくも言えば、僕もそう想います。

才能、容姿も含め、僕らのすべては、
人の役に立つために存在しています。

幸せな自分しか、他人を幸せにできません。

だから、自分が幸せであることが大事。

しかしながら、自分が幸せを感じるためには、
人の役に立って喜ばれるしかない。

人を幸せにすることの中にこそ、自分の幸せがあるのです。

これこそ、僕の心にいつも流れているメロディー。

さらに清水さんの言葉を。

「よくスタッフに言っているのは、
 技術を高めるのはもちろん重要だけど、
 ここは日々人間的に成長していく場所なんだよ。いうことです。
 そういう意味じゃ、夢ケーキのイベントを通じて、
 スタッフはいろいろなことを学ばせてもらっています。
 《人様のために働きなさい》って口で言うのは簡単ですけど、
 頭だけでは理解したことにはならない。
 このイベントをやると、お菓子を作るって、
 人を喜ばせるってこういうことなんだって、身体で分かってきます。
 このイベントを通じて、毎年メールや手紙をいただきますし、
 ケーキを渡す時に子供たちが飛び跳ねて喜んでくれたりとか。
 また、涙ぐんでいるお母さんを見たりすると、
 こちらも嬉しいですよね。
 あるお母さんは、
 「結婚して十何年して、初めて夫の夢を聞きました」
 と言ってました。
 また、
 「家族で夢を語る機会を、まさかケーキ屋さんから
  もらえるとは思わなかった」
 と言う人もいました。
 お父さんが亡くなった子供が、
 お父さんへの思いを絵に描いてきたこともあります。
 それぞれの家族にそれぞれのストーリーがあって、
 心を動かされることがいっぱいあります」

冒頭の言葉に戻りますが、
「事業には人を幸せにする力がある」
と再認識できますね。

そして、スタッフの成長についても、
以下のようなエピソードがあります。

「一昨年のことでしたが、ケーキの数が増えてきて、
 夢ケーキを続けるのはもう無理なんじゃないかな
 と思ったことがあります。
 社長(注:清水慎一さんの父親)からも、
 『こんなことやって社員に負担をかけて、
  しかも無料で配って何になるんだ』
 って叱られたんです。
 夢ケーキの時期はちょうど全国的なお菓子コンクールと重なるので、
 10日から2週間ぐらい徹夜に近い状態が続くんですね。
 その時、僕は
 「本当にこの子たちに負担をかけてるだけなのかなあ」
 と思って、みんなの前で
 「数が数だし、全部受けるのはお断りして、数で区切ろうか」
 って、ぽろっと言ってしまったんです。
 そうしたら、うちのスタッフが
 「なに言ってんですかっ」
 って顔色を変えて言うんです。
 スタッフのある女の子が、
 「私たちが負担に思ってるなんて、
  そんな風に思われてたことがショックです」
 って言うんですね。
 「そんな気持ちでやってんじゃないんです」
 って言われて、僕は本当に涙が止まりませんでした。」

経営者冥利に尽きるじゃないですか!

こんな想いやエピソードが揃っていて、
繁盛しないはずがありません。

心温かきに添った努力は
「いつ行っても新しいケーキがある店」
につながります。

だから僕も確信するのです。

「やり方より、あり方である」と。

想いが、技術を進化させるのです。

定番商品は全体の1/4で、あとは季節商品。

缶詰モノ、冷凍モノを使わない旬のお菓子は、
多い時期で70種類!
(これは全国的にもかなり多いです)

だから「菓匠Shimizu」さんは、その商品力も素晴らしい。

「いくら理念や理想を唱えたって、
 売っているケーキがおいしくなかったら絵空事です。」

まさしくそうですよねぇ!

商品力向上は、スタッフの高いモチベーションに支えられています。

そして2004年に約1億円の売上だった同社は、
店舗も増やさず、場所も変えず、
昨年、2009年は、約3億5000万円と
5年で3倍以上に増えています。

今日はもう僕が書くスペースが無いのですが(^_^;)、
またまた清水さんの言葉で締めますね。

「利益を追求してたら、今はないでしょうね。
 やはり、スタッフがやりがいを持って、
 毎日楽しんで働くことが一番大切です。
 その結果、お客さんに喜んでもらえて、
 お店にやって来てくれるお客さんが増えてきたんだと思います。
 夢ケーキを始めた時は、みんなから
 「そんなことしてアホか」
 と言われました。
 夢ケーキで作っているのは、
 値段を付けたら4000円~5000円で売れるようなケーキ。
 800個配ったら、
 1日で300万円以上の売り上げが消えていくわけです。
 でも、うちで夢ケーキを作った家族、お子さんたちは、
 その後も、クリスマスケーキとか家族の誕生日ケーキとかを
 うちに注文してくれるようになります。
 始めた時は全然考えたことがなかったけど、
 結果的にリピーターになってくれています。
 そういう意味で、いい循環ができたんだなと思います。
 『家族に絆をつないでほしい、子供に夢を与えたい』
 という気持ちでやっていますが、
 やはり僕たちにも利益がないと動けませんからね。
 だから、ほかのケーキ屋さんにも
 どんどんやってもらいたいと思います。
 幸いなことに、賛同してくれる仲間のケーキ屋が
 今、増えつつあります。
 いつか「夢ケーキの日」が
 全国的なイベントになればいいなと思っています」

宿泊施設の社会的や役割と使命は何でしょうか?

スタッフが誇りをもってワクワクと楽しく働くには?

そんなことを、今日も考えています。
<記事参考>
JBpress(日本ビジネスプレス)
http://jbpress.ismedia.jp/

………………………………………………………………………………
 「店は客のためにあり、店員とともに栄える」
………………………………………………………………………………
何度か書いていますが、
人を幸せにしないなら、それは事業とは言いません。

事業とは、人を幸せにしてこそのものです。

事業には、人を幸せにする力があります。

先日、中山マコト先生(この人、よく登場するなぁ(^^))からのご紹介で、
ある出版社の、素晴らしいお人柄の編集長さまとお会いしましたが、
その会社の理念が素晴らしいです。

以下、ご堪能くださいませ。
 「店は客のためにあり、店員とともに栄える」
         商売十訓
  一、損得より先きに善悪を考えよう
  二、創意を尊びつつ良い事は真似ろ
  三、お客に有利な商いを毎日続けよ
  四、愛と真実で適正利潤を確保せよ
  五、欠損は社会の為にも不善と悟れ
  六、お互いに知恵と力を合せて働け
  七、店の発展を社会の幸福と信ぜよ
  八、公正で公平な社会的活動を行え
  九、文化のために経営を合理化せよ
  十、正しく生きる商人に誇りを持て

まぁ、ここまで書いたら明かしますが「商業界」さんです(^^)。

笹井編集長さま、今後とも宜しくお願い申し上げます。ありがとうございます。


★「商売とは相思相愛を探す旅」
株式会社 乾杯・KANPAI
http://www.kanpai-kanpai.com/
業種を問わず大好評のメルマガ↓です。
http://www.kanpai-kanpai.com/service01.html


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